正しい引きこもり方「模型」
2020年2月25日
家で出来る遊び模型編
こういう業種をやっていると結構模型の腕は上のランクです。
そんな上級者が思うに、昨今の「プラモデルは上手に作るのが当たり前」という風潮に甚だ疑問を感じるのです。
模型は「上手に作ることを目標にすべきなのか」また「上手に作らないものは価値がないのか?」と考え直して見るべきだと思っています。
ここにある作品をご覧ください。
適当にサイトを漁って出たお手製模型です。見た感じ粘土で作った下手くそ模型ですが、これを価値なしというのは早計です。これは某小学校の模型ですが、この作品以外この小学校の模型は存在しません。小学校を立体把握するには、この下手くそな模型が唯一の存在になります。
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そもそもの模型の起こりは、この軍隊の図上演習です。
現在でも上級の野戦指揮所ではこの様に、簡易的に砂を使って周辺の地形を作り作戦計画を立てます。これに兵隊人形を組み合わせたり戦車を組み合わせたものを使います。いわゆるブリキの兵隊さんは隊列研究に用いられてたものなんです。
つまり模型のあるべき姿はコレ!
実はいうほどディティールは求められません。
何が言いたいかというと。精密に作られた模型というのは、模型の一側面であって、もっと雑にディフォルメされた模型を並べるだけでも、本来の模型の役割を果たすということで。上記の「上手に作ることを目標にすべきなのか」に対する答えです。「適当でもいい」そもそもそんなに求められていない。
色はグレー一色で十分!
ほらかっこいいでしょ?
立体感というのは着色すればするほど失われていきます陰影がよくわかるのはグレー一色がベストなんです。ほらこうすればスプレー缶一個でできるでしょ?
何の為に模型作りをしているのか。
「飾る為」これ自体は否定しません。飾るからこそ「綺麗に作っている」のでしょう。しかし飾るなら「ミュージアムモデル」という完成品が売っています。それこそいくらでも金を足せば、精密で綺麗な置物は売っています。
ここで疑問「完成させる必要はある?」です。
中身まで作る模型は完成させると中身が見えなくなります。
それでも構造に関わる所があったりするわけで、そこが面白いところです。ならば完成させないのもアリじゃね?エンジンだけ作って満足するのもアリじゃね?と思えます。
要は自分の萌えポイントがどこかでありそこを抑えたらもう満足するのもアリということです。
これを踏まえて
逆に問いたいです。「模型を作る人の中でコンテストに出す人はいるの?」
いやそう多くはいまい。
ならばコンテスト向きの完成を目指す必要は無い。というのが結論です。
ゲームだってクリアするのが目的でそれ以上はありません。模型はクリアしたのち現物が残ります。そしてココを強調したい。模型はそこらへんのフィギアより下手に作っても完成度は高い。ということです。市販品はそれこそ綺麗に機械で塗装しています。しかし生産しやすい様に作られているので、かなり形状が省略されています。それに満足できない人が模型に手を出すのです。生産の手間を自分で追う事で、立体の複雑さを手にすることができます。
実は簡単、綺麗な作り方。
じつは模型は抑える所は多くありません。そこを抑えれば、レゴブロックと同じです。何が上手に作れるか、下手に見えるか。の差は。
「プラモデルっぽい所を処理している」
の一言で終わります。プロモデラーはこの作業に殆どを費やします。
ちなみにどんな複雑なキットでもパーツがすべて切り離されたところから
組み上げるまで1時間も掛かりません。
まず二つの写真
上がプラモデルのエンジン、下がラジコンのエンジンです。
大きさに差はありません、なのに、下の本物感はどういうことでしょう。
上はどうみてもプラスチックでできています。
プラスチックはエッジがゆるい。
プラモデルがプラモデル感から抜け出せないのは
製品を作る金型に理由があります。プラスチックは非常にネバネバした材質なので表面張力で角が丸まります。これがいくら塗装を綺麗にしてもプラスチック感がぬけない所です。
ココをプロモデラーは削り直しているわけです。全部とは言いません気になる所、「まるいな・・」と思う所はエッジを立ててみてください。
もなか構造特有のゲート処理
つなぎ目を消すのがガンプラでも流行っています。色々方法がありますが
このつなぎ目こそプラモデルっぽさが残る場所です。
フォトショップで消しました。どうです?全く雰囲気変わりますよね?
肩のトゲトゲもプラスチック特有のゆるいハリボテ感があります。おそらく本物のザクはトゲトゲを差し込んで作っている筈です。この境目に筋彫りをしてあげると解消できます。プラスチック特有の丸みを消す、ここが重要です。
色彩。
そして最後です。制作の基本は上二つです。これを抑えればだれでも雑誌に乗っている完成見本に近づきます。
そして殆ど色ぬりで決まるという仕上がりですが。
上記の様にグレー一色で塗れば割と見栄えがします。それでも言い訳ですが
プラモデルの塗装に置ける最大のポイントは
「プラモデル特有の半光沢を覆い隠す」です。
この一点のみです。
プラスチックは独特の半光沢感があります。樹脂の持つ質感はどうやってもプラスティックです。これを覆い隠しましょう。これよりもマットに仕上げる、光沢にしあげる。どちらとも有効です。プラスチックの質感からズラすことが重要です。
さてここまでしたらもう十分鑑賞に耐えられる模型ができます。
上記の「完成させる必要はない」というのは、どこか一箇所でもちょっと工夫してみる。という遊びココロで作れば、満足の行くものになるという意味でもあります。
あとは遊んで壊してしまうものです。それで良いのがプラモデルという存在です。
しょせんおもちゃなので、もっと気軽に遊ぶべきだと思うのです。
次回
「デザイナーが週末引きこもる為に買ったガンプラが6時間で完成してしまってこれぐらいなら誰でもできるだろうという作例を見せるよ」の巻。です